CATEGORY : 個人用
今から30数年前のこと。
私が職場の後輩K君を家に招待したときのことである。
私は、M駅、K君は隣のN駅である。
時々彼は、N駅から乗らずに、M駅から乗ることがあるらしく私の家の近所のこともよく知っていた。
その彼を自宅に招待することになり、幸か不幸か私と彼との距離は急速に縮まったのである。
私たちはM駅を降り一路、私の家を目指していた。
徒歩約10分ほどであるが、彼の話を聞いていると楽しくて仕方がない。
血気盛んな年頃だから彼の話すことと言ったらアレの話ばかりである(今もそうである)。
彼の話術は大変面白く、人をひきつける魅力を持っていた。
私の家まで直線距離にしてあと200mになろうかとしたとき、彼が急に立ち止まり、こう言った。
「先輩、ここらへんに有名なアホいてまんねん ほんまにアホでっせ そんじょそこらのアホとちがいまっせ あははは・・・」
私は思わず、どこのアホやねん、そいつの家どこやねん!と聞いてしまった。
すると彼は、はっきりと言わず、
「もうすぐわかりま、ほんまにアホでっせ そんなにあせらんでも、もうじき直線になったら見えまっさかい」と言うではないか。
そう彼の言うアホの家は、私の近所だったのである。あはは・・・
この時、私はまだ予期せぬ出来事に気付いてはいなかった。
いや、知らん振りをかましていたのかも知れない。私はもう一度聞いた。そいつそんなにアホか
彼は言った。
「そんなもんね二階のね、ベランダにスピーカ出してやで、おっかの上 ひんなげしぃのはーながー(アグネスチャンの歌)とかね 朝丘めぐみのめばえの歌、ガンガン鳴らしてまんねん ほんまアホでっせぇ~」
なに!!おっかの上 ひんなげしぃのはーながー♪♪か!!
「そやねん先輩、うまいやんか どこで覚えたん?」
イヤ、なんでもない。
「それにね、油断したらあきまへんねん」
なんでやねん
「そいつね ドッカーンって雷鳴らしよりまんねん・・・ほんまに変でっせぇ」
私は私の身体がなぜか小刻みに震えるのを抑えることができなかった。
そしてついに直線の道になり、はっきりとそのアホの家が見えたとたん彼は言った。
「アレですわ アレ アレ あそこですわ アッ しっ!!アホのおかん(母)いてまっさかい 大きな声でしゃべったらあきまへんで」
彼は必死で笑いを、私は怒りをこらえながら、ついにその家の前を通り過ぎた。
彼は小さい声でなおも 「ここですわここ、ここ」と言いながら笑いをこらえ続けていた。
その時点で私ははっきりと、その家が私の家であることを知っていた。
知らなかったらほんまにアホである。
しかし、違う 違う 違っててくれぇと心の奥底で祈っている自分もいた。
母は膨大な数の植木に水をやっていた。
母の後ろを数メートル通り過ぎたそのときであった。
急に後ろから 「どこいくねんや」と身に覚えのある母の声。
私は振り返り、普通になにもなかったかのように
友達連れてきたんや おかあちゃんと言って彼を紹介した。
彼はあっち向いたまま、足踏みをしていた(いっちに いっちに)。
彼は幼い頃から具合が悪いと いっちに いっちにをする癖があると 後におばちゃんから聞く。
私は彼にこう言った。 「ここがボクのウチやねん」
すると彼が振り向いてこう言った。
「エエ植木ですねぇ おばちゃん こんにちは Kと言います。 これからもよろしくお願いしま~す♪♪」
うーん 彼は大物になるに違いない・・・このときほど 彼が大きく見えたことは無い
すると私の母がこう言った。
「いいや こっちこそ この子ほんまにアホやから よろしゅう頼むわねぇ」
あれから30数年、いまだに兄弟として付き合っている。
トホホ・・・
今から30数年前のこと。
私が職場の後輩K君を家に招待したときのことである。
私は、M駅、K君は隣のN駅である。
時々彼は、N駅から乗らずに、M駅から乗ることがあるらしく私の家の近所のこともよく知っていた。
その彼を自宅に招待することになり、幸か不幸か私と彼との距離は急速に縮まったのである。
私たちはM駅を降り一路、私の家を目指していた。
徒歩約10分ほどであるが、彼の話を聞いていると楽しくて仕方がない。
血気盛んな年頃だから彼の話すことと言ったらアレの話ばかりである(今もそうである)。
彼の話術は大変面白く、人をひきつける魅力を持っていた。
私の家まで直線距離にしてあと200mになろうかとしたとき、彼が急に立ち止まり、こう言った。
「先輩、ここらへんに有名なアホいてまんねん ほんまにアホでっせ そんじょそこらのアホとちがいまっせ あははは・・・」
私は思わず、どこのアホやねん、そいつの家どこやねん!と聞いてしまった。
すると彼は、はっきりと言わず、
「もうすぐわかりま、ほんまにアホでっせ そんなにあせらんでも、もうじき直線になったら見えまっさかい」と言うではないか。
そう彼の言うアホの家は、私の近所だったのである。あはは・・・
この時、私はまだ予期せぬ出来事に気付いてはいなかった。
いや、知らん振りをかましていたのかも知れない。私はもう一度聞いた。そいつそんなにアホか
彼は言った。
「そんなもんね二階のね、ベランダにスピーカ出してやで、おっかの上 ひんなげしぃのはーながー(アグネスチャンの歌)とかね 朝丘めぐみのめばえの歌、ガンガン鳴らしてまんねん ほんまアホでっせぇ~」
なに!!おっかの上 ひんなげしぃのはーながー♪♪か!!
「そやねん先輩、うまいやんか どこで覚えたん?」
イヤ、なんでもない。
「それにね、油断したらあきまへんねん」
なんでやねん
「そいつね ドッカーンって雷鳴らしよりまんねん・・・ほんまに変でっせぇ」
私は私の身体がなぜか小刻みに震えるのを抑えることができなかった。
そしてついに直線の道になり、はっきりとそのアホの家が見えたとたん彼は言った。
「アレですわ アレ アレ あそこですわ アッ しっ!!アホのおかん(母)いてまっさかい 大きな声でしゃべったらあきまへんで」
彼は必死で笑いを、私は怒りをこらえながら、ついにその家の前を通り過ぎた。
彼は小さい声でなおも 「ここですわここ、ここ」と言いながら笑いをこらえ続けていた。
その時点で私ははっきりと、その家が私の家であることを知っていた。
知らなかったらほんまにアホである。
しかし、違う 違う 違っててくれぇと心の奥底で祈っている自分もいた。
母は膨大な数の植木に水をやっていた。
母の後ろを数メートル通り過ぎたそのときであった。
急に後ろから 「どこいくねんや」と身に覚えのある母の声。
私は振り返り、普通になにもなかったかのように
友達連れてきたんや おかあちゃんと言って彼を紹介した。
彼はあっち向いたまま、足踏みをしていた(いっちに いっちに)。
彼は幼い頃から具合が悪いと いっちに いっちにをする癖があると 後におばちゃんから聞く。
私は彼にこう言った。 「ここがボクのウチやねん」
すると彼が振り向いてこう言った。
「エエ植木ですねぇ おばちゃん こんにちは Kと言います。 これからもよろしくお願いしま~す♪♪」
うーん 彼は大物になるに違いない・・・このときほど 彼が大きく見えたことは無い
すると私の母がこう言った。
「いいや こっちこそ この子ほんまにアホやから よろしゅう頼むわねぇ」
あれから30数年、いまだに兄弟として付き合っている。
トホホ・・・
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